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『夜のロケーション』('Esterno Notte')③

  ゲロまみれのシーンから、沸き立つ赤い旅団シンパ、続いて(誘拐の報を聞きつけ)我が子の手を握りしめ急いで家に連れ帰ろうとする母親たちが次々に外に出てくる小学校の入り口をとらえたショットに切り替わると、ジャネットの"Porqué Te Vas"が聴こえてくる。
スペインで1974年にシングルとしてリリースされたこの曲を気に入ったカルロス・サウラ監督が『カラスの飼育』で使用、映画が75年にカンヌ映画祭で上映後賞をとり、各国で一般公開されると、あらためて、この曲が注目され、76年にフランスを筆頭に欧州南米数ヵ国で発売されると、イタリアを含む各国で軒並み大ヒットを記録したのだった。
    「なぜならあなたが去ってしまうから」。そんな表題を持つこの曲が流れるなか、モロがどこかに連れていかれたことに対する様々なリアクション ーーー 沸き立つ赤い旅団シンパ、小学校の入り口のショットに続き、モロ夫人と神父のショット、そして、大きな箱に入れられ、クルマでどこかに運ばれる最中のモロの表情ーーーが映し出され、第1話は終わる。
    ただ、第四話まで見ると、小学校の入り口のショットと"Porqué Te Vas"との関係はもう少し深そうだ。このショットには続きがあり、親が次々に子供を連れ帰ったあと、たったひとり残された女児が映される。なぜなら、彼女の母親アドリアーナ・ファランダは、赤い旅団にすべてを捧げ、彼女のもとから去ってしまったからだ。
     一方、『カラスの飼育』では、彼女と同じ年頃の女児アナが主人公だ。映画では、両親を失くしたアナの唯一の心の拠り所が"Porqué Te Vas"なのだが、『夜のロケーション』で、自分にはなにも知らせずどこかに消えてしまい、気がつけばモロ誘拐殺害事件の最初の逮捕者となっていた母親に対する彼女の思いは到底想像しえない。


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'Connan'(2023)

「はじまりは舞台劇だった。ナンテールアマンディエ劇場のフィリップ・ケーヌに招かれ、作品化することになった」と'Connan'について監督のベルトラン・マンディコは、2022年の夏にVarietyで話している。「もともとはコナンの世界に嫌悪感を抱いていたけれど、自分に訴えかけてくるところがあるのに気づいたのが、ちょうど狂暴なキャラについてリサーチしていた時だった」。     コナンとは、映画『コナン・ザ・グレート』(監督ジョン・ミリアス)や『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART 2』(監督リチャード・フライシャー)を通じて広く知られているロバート・E・ハワードの小説『英雄コナン』の主人公のこと。マンディコの映画では、このコナンが女性として登場する。    「自分の映画はジョン・ミリアスの『コナン』とは真逆。暴力的な話でもなければ、荒々しい話でもない。コナンの人生のなかでも別のステージ---シュメール文明の時代から近未来---を探ってゆく。夢想的でコクトーあるいはポール・シュレイダーの『Mishima』っぽいところも少しある。コナンの人生の各ステージごとに感覚やリズムは異なりつつも、その根底には統一感が、そして、この人物の進化がある」     マンディコがこう語るように、映画ではクレール・デュブルク扮する10代から、50代のナタリー・リシャールまで、各世代ごとに計五人の女優がコナンを演じ分け且つ引き継いでゆくようだ。さらに、狂言回しの役割なのだろうか、「地獄の番犬」役だというライナー(その名はファスビンダーに由来するという)に扮するエリナ・ルーヴェンゾンは、実際に犬顔メイクで、この役に臨んでいる。 また、マンディコはこうも言っている。    「マックス・オフュルスの『歴史は女で作られる』('Lola Montes')で、彼女にとって地獄となるサーカスで、彼女の遍歴を物語る人物にも触発された」    ルーヴェンゾン扮する「地獄の番犬」は、ローラ・モンテスにとっての地獄で団長を務めるピーター・ユスチノフのキャラクターに負うところが大きいのだろう。

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